2004年11月15日

記憶


電車の座席に座っていたとき、
入ってきた少し大柄な男の人がナラくんに似てると思った。
ナラくんには卒業以来ずっと会ってないし、
別に親しくなかったし、
ただの同級生なんだけど、
その男のひとが似てると思った。
しばらくわたしの視界からナラくんに似てるひとが消えたけれど、
ふた駅くらい過ぎて、ちょうど空いたわたしの目の前の席に座った。


どこが似ているのだろうと時々ちらちらと見てしまう。
もしかしたら本人かもしれないと。

ついでにナラくんってどんな人だったんだろうかと思い出してみる。
サッカー部だったかな。
いや、あのメンバーの中にはいなかったんだっけ。
生徒会長だったかな。
いや、会長は別の人だったなあ。

そしていろいろ思い出しているうちに、
ナラくんの顔がよく思い出せなくなってきた。
もう1度似てると思った目の前の人を見てみる。
どこが似てるんだろう。
あんなに大きいひとだっただろうか。

記憶と目の前のひととを交互に比べていくうちに、
本物の記憶が手繰り寄せられなくなっていた。
ナラくんが同級生として存在していたかさえもわからなくなりそうだった。

目の前のナラくんに似てるひとが視界を去る。
もう2度と会わないだろうけれど、
やっぱり他人の空似だったのだろうか。

記憶の存在が信じられなくなっていた。
なにもかもが幻のように思えて。
posted by かてりな at 09:22| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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